Gen タスク

Gen タスクは Doma-Gen の唯一のタスクです。

Gen タスクには、 EntityConfig, DaoConfig, SqlConfig, SqlTestCaseConfig のデータ型をネストさせて使用できます。

トップレベルパラメータ

Gen タスクのトップレベルのパラメータは次の通りです。

パラメータ 説明 デフォルト値 必須
url JDBC接続URLです。   YES
user JDBC接続ユーザーです。   YES
password JDBC接続パスワードです。   YES
dialectName RDBMSの方言名です。 次の値が有効です。 h2, hsqldb, mysql, postgresql, mssql, oracle, db2 url の値から推測されます。  
dialectClassName Doma の実行時に使われる RDBMS の方言です。コードに埋め込まれます。 url の値から推測されます。  
genDialectClassName コード生成に使用される RDBMS の方言です。 指定するクラスは、Genタスクを実行するクラスパスに通されている必要があります。 url の値から推測されます。  
schemaName 対象とするテーブルが所属するスキーマ名です。    
tableNamePattern 対象とするテーブル名の正規表現です。大文字小文字は区別されません。 .*  
ignoredTableNamePattern 対象としないテーブル名の正規表現です。大文字小文字は区別されません。 .*$.*  
tableTypes 対象とするテーブルの型です。 たとえば、テーブルに加えビューを対象にしたい場合、 “TABLE, VIEW” と指定します。 TABLE  
versionColumnNamePattern エンティティのプロパティに @Version を付与するカラム名の正規表現です。 大文字小文字は区別されません。    
templateEncoding テンプレートファイルのエンコーディングです。 UTF-8  
templatePrimaryDir テンプレートファイルを検索する際の優先ディレクトリです。 独自テンプレートファイルを使用する場合に指定します。    
globalFactoryClassName タスクで使用されるインスタンスを生成するファクトリの完全修飾名です。 org.seasar.doma.extension.gen.GlobalFactory の実装クラスでなければいけません。 org.seasar.doma. extension.gen. GlobalFactory  

EntityConfig

エンティティクラスの生成に関する設定を表すデータ型です。

このデータ型を使用するとエンティティクラスとエンティティリスナークラスを生成できます。 エンティティクラスとエンティティリスナーは同じパッケージに生成されます。

EntityConfig のパラメータ定義は次の通りです。

パラメータ 説明 デフォルト値 必須
generate true の場合、エンティティクラスとエンティティリスナーの Java ファイルを生成します。 true  
destDir Java ファイルの出力先ディレクトリです。 src/main/java  
encoding Java ファイルのエンコーディングです。 UTF-8  
overwrite true の場合、エンティティクラスのJavaコードを上書きします。 true  
overwriteListener true の場合、エンティティリスナークラスのJavaコードを上書きします。 false  
packageName エンティティクラスのパッケージ名です。    
entityPrefix エンティティクラスのプリフィックスです。    
superclassName エンティティクラスのスーパークラスの完全修飾名です。 生成されるエンティティクラスはここに指定したスーパークラスを継承します。 指定するクラスは、Genタスクを実行するクラスパスに通されている必要があります。    
listenerSuperclassName エンティティリスナーのスーパークラスの完全修飾名です。    
namingType ネーミング規約です。 none, snake_upper_case, snake_lower_case, upper_case, lower_case のいずれかの値を指定できます。 @Entitynaming 要素に使用されます。    
entityPropertyClassNamesFile エンティティプロパティのクラス名を解決するためのファイルです。 形式は、キーをエンティティプロパティ名の正規表現、 値をクラスの完全修飾名とするプロパティファイル形式です。    
generationType 識別子を生成する方法です。 identity, sequence, table のいずれかを指定できます。 identitysequence については使用する RDBMS がサポート していない場合にエラーになります。 この設定はテーブルが単一の主キーを持つ場合にのみ有効です。 @GeneratedValuestrategy 要素に使用されます。    
initialValue 識別子の初期値です。 generationTypesequence もしくは table を指定した場合にのみ有効です。 @SequenceGenerator@TableGeneratorinitialValue 要素に指定されます。    
allocationSize 割り当てサイズです。 generationTypesequence もしくは table を指定した場合にのみ有効です。 @SequenceGenerator@TableGeneratorallocationSize 要素に指定されます。    
useAccessor true の場合エンティティクラスにアクセッサメソッドを生成します。 false の場合エンティティクラスのフィールドは public になります。 true  
useListener true の場合エンティティリスナーのソースコードを生成し、 @Entitylistener 要素に指定します。 false の場合エンティティリスナーのソースコードは生成されません。 true  
showDbComment true の場合 データベースのコメントを JavaDoc コメントに反映させます。 true  
showCatalogName true の場合 @Tablecatalog 要素にカタログ名を明記します。 false  
showSchemaName true の場合 @Tableschema 要素にスキーマ名を明記します。 false  
showTableName true の場合 @Tablename 要素にテーブル名を明記します。 true  
showColumnName true の場合 @Columnname 要素にカラム名を明記します。 true  
originalStatesPropertyName ここに指定した名前のプロパティに、 @OriginalStates を注釈します。    
sql この SQL の結果セットに対応したエンティティクラスのファイルを生成します。    
entityName sql に値を指定した場合に有効です。 SQL の結果セットに対応したエンティティクラスの名前になります。 Example  

DaoConfig

Dao インタフェースの生成に関する設定を表すデータ型です。

このデータ型を使用するとエンティティごとに1つの Dao インタフェースを生成できます。

DaoConfig のパラメータ定義は次の通りです。

パラメータ 説明 デフォルト値 必須
generate true の場合、 Dao インタフェースの Java ファイル を生成します。 true  
destDir Java ファイルの出力先ディレクトリです。 src/main/java  
encoding Java ファイルのエンコーディングです。 UTF-8  
overwrite true の場合、Dao インタフェースの Java ファイルを上書きします。 false  
packageName Dao インタフェースのパッケージ名です。 example.dao  
suffix Dao インタフェースのサフィックスです。 Dao インタフェースの名前はエンティティクラス名にこのサフィックスを を付与したものになります。 Dao  
configClassName 設定クラスの完全修飾名です。 @Daoconfig 要素に指定されます。 false  

SqlConfig

SQL ファイルの生成に関する設定を表すデータ型です。

このデータ型を使用するとエンティティごとにデフォルトで2つの SQL ファイルを生成できます。 生成される SQL は次のものです。

  • 条件に識別子を指定して検索する SQL
  • 条件に識別子とバージョンを指定して検索する SQL

ただし、エンティティが識別子を持たない場合は SQL ファイルは生成されません。 また、エンティティがバージョンを持たない場合は条件にバージョンを指定する SQLは生成されません。

テンプレートを用意することで、独自の SQL ファイルを生成できます。

SqlConfig のパラメータ定義は次の通りです。

パラメータ 説明 デフォルト値 必須
generate true の場合、 SQL ファイルを生成します。 true  
destDir SQL ファイルの出力先ディレクトリです。 src/main/resources  
overwrite true の場合、SQL ファイルを上書きします。 true  

SqlTestCaseConfig

SQL のテストケースの生成に関する設定を表すデータ型です。

このデータ型を使用すると、ネストした要素として指定した FileSet にマッチした SQL ファイルに対するテストケースを生成します。

SqlTestCaseConfig のパラメータ定義は次の通りです。

パラメータ 説明 デフォルト値 必須
generate true の場合、SQL をテストする Java ファイル を生成します。 true  
destDir Java ファイルの出力先ディレクトリです。 src/test/java  
encoding Java ファイルのエンコーディングです。 UTF-8  

ネストした要素として指定される FileSet

テスト対象の SQL ファイルを指定するために FileSet を使用します。 SQL ファイルは次の条件を満たしていなければいけません。

  • 拡張子が sql である
  • META-INF ディレクトリ以下に配置される

設定例

Gradle で使用するための設定例を示します。

configurations {
    domaGenRuntime
}

repositories {
    mavenCentral()
    maven {url 'https://oss.sonatype.org/content/repositories/snapshots/'}
}

dependencies {
    domaGenRuntime 'org.seasar.doma:doma-gen:2.6.1'
    domaGenRuntime 'org.postgresql:postgresql:9.3-1100-jdbc41'
}

task gen << {
    ant.taskdef(resource: 'domagentask.properties',
        classpath: configurations.domaGenRuntime.asPath)
    ant.gen(url: 'jdbc:postgresql://127.0.0.1/example', user: '', password: '') {
        entityConfig()
        daoConfig()
        sqlConfig()
    }
}

task genTestCases << {
    ant.taskdef(resource: 'domagentask.properties',
        classpath: configurations.domaGenRuntime.asPath)
    ant.gen(url: 'jdbc:postgresql://127.0.0.1/example', user: '', password: '') {
        sqlTestCaseConfig {
            fileset(dir: 'src/main/resources') {
                include(name: 'META-INF/**/*.sql')
            }
        }
    }
}

設定のポイントは次のものです。

  • configurationsdependencies で Doma-Gen と JDBC ドライバへの依存関係を示す
  • ant.taskdefclasspathconfigurations に追加した名前を指定する
  • ant.taskdefresourcedomagentask.properties を指定する

使用例

すべて Gradle で使用する例です。

データベースのメタデータからファイル一式を生成する

次のタスクにより、 エンティティクラス、エンティティリスナークラス、 Dao インタフェース、SQL のファイル一式を生成できます。

task gen << {
    ant.taskdef(resource: 'domagentask.properties',
        classpath: configurations.domaGenRuntime.asPath)
    ant.gen(url: 'jdbc:postgresql://127.0.0.1/example', user: '', password: '') {
        entityConfig()
        daoConfig()
        sqlConfig()
    }
}

SQL の実行結果からエンティティクラスのファイルを生成する

EntityConfig データ型の sql パラメータに SQL を指定すると 結果セットのメタデータを使って SQL の結果に対応するエンティティティクラスのファイルを生成できます。

packageNameentityName のパラメータも合わせて設定すると良いでしょう。

task genEntity << {
    ant.taskdef(resource: 'domagentask.properties',
        classpath: configurations.domaGenRuntime.asPath)
    ant.gen(url: 'jdbc:postgresql://127.0.0.1/example', user: '', password: '') {
        entityConfig(packageName: 'aaa.bbb',
            entityName: 'GroupByDeptId',
            sql: 'select dept_id, max(age) as max_age from emp group by dept_id')
    }
}

上記のタスクを実行すると以下の出力を得られます。

package aaa.bbb;

import org.seasar.doma.Column;
import org.seasar.doma.Entity;

@Entity
public class GroupByDeptId {

    /** */
    @Column(name = "DEPT_ID")
    Integer deptId;

    /** */
    @Column(name = "MAX_AGE")
    Integer age;

    ...
}

上記の例では、パラメータをビルドスクリプトに埋め込んでいますが、 gradle コマンド の -P オプションを使って外部から値を渡すこともできます。

$ gradle genEntity -PentityName="GroupByDeptId" -Psql="select dept_id, max(age) from emp group by dept_id"
task genEntity << {
    ant.taskdef(resource: 'domagentask.properties',
        classpath: configurations.domaGenRuntime.asPath)
    ant.gen(url: 'jdbc:postgresql://127.0.0.1/example', user: '', password: '') {
        entityConfig(packageName: 'aaa.bbb',
            entityName: entityName,
            sql: sql)
    }
}

ディレクトリ中の SQL ファイルを検出し SQL のテストケースを生成する

次のタスクにより、 ディレクトリ中の SQL ファイルを検出し SQL のテストケースを生成します。

task genTestCases << {
    ant.taskdef(resource: 'domagentask.properties',
        classpath: configurations.domaGenRuntime.asPath)
    ant.gen(url: 'jdbc:postgresql://127.0.0.1/example', user: '', password: '') {
        sqlTestCaseConfig {
            fileset(dir: 'src/main/resources') {
                include(name: 'META-INF/**/*.sql')
            }
        }
    }
}

エンティティのプロパティのクラス名を指定する

ドメインクラスを使用する場合など、特定のエンティティプロパティに対しクラス名を指定したいことがあります。

クラス名の指定は、 properties ファイルで行います。 キーは、エンティティプロパティの完全修飾名を正規表現で表したもの、値はマッピングしたいクラスの完全修飾名です。 エンティティプロパティの完全修飾名とは、「エンティティクラスの完全修飾名」と「エンティティプロパティ名」を「@」で連結したものです。 たとえば、 Employee エンティティクラスのエンティティプロパティ employeeName の完全修飾名は、 example.entity.Employee@employeeName です。

Employee エンティティクラスの中でエンティティプロパティ名が Name で終わるものを example.domain.Name クラスにマッピングさせるには次のように記述します。

example.entity.Employee@.*Name$=example.domain.Name

プロパティ名の部分を正規表現で示しています。 正規表現はプロパティ名に対してのみ使用できます(@より左のクラス名は必ず完全修飾名でなければいけません)。

生成されるエンティティクラスでは、次のように employeeName プロパティの型が example.domain.Name になります。

import example.domain.Name;

@Entity
public class Employee {
    @Id
    Integer id;
    Name employeeName;
    ...
}

Employee エンティティクラスに限らず、すべてのエンティティクラスを対象にエンティティプロパティ名が Name で終わるものを example.domain.Name クラスにマッピングさせたい場合は次のように記述します。

.*Name$=example.domain.Name

properties ファイルは、エンティティプロパティごとに上から順番に評価され、正規表現がマッチした時点で評価を終えます。 どの行にもマッチしない場合、クラス名はデフォルトのクラス名になります。

properties ファイルは EntityConfig データ型の entityPropertyClassNamesFile パラメータに指定できます。 (ここではプロパティファイルの名前を name.properties とします。)

task gen << {
    ant.taskdef(resource: 'domagentask.properties',
        classpath: configurations.domaGenRuntime.asPath)
    ant.gen(url: 'jdbc:postgresql://127.0.0.1/example', user: '', password: '') {
        entityConfig(entityPropertyClassNamesFile: 'name.properties')
        daoConfig()
        sqlConfig()
    }
}

独自のテンプレートファイルを使用する

Doma-Gen のテンプレートは、ソースコードリポジトリの src/main/resources/template ディレクトリ以下にあります。 テンプレートの種類を以下に示します。

テンプレート データモデルクラス 生成物
entity.ftl org.seasar.doma.extension.gen.EntityDesc エンティティクラスの Java ファイル
entityListener.ftl org.seasar.doma.extension.gen.EntityListenerDesc エンティティリスナークラスの Java ファイル
dao.ftl org.seasar.doma.extension.gen.DaoDesc Dao インタフェースの Java ファイル
sqlTestCase.ftl org.seasar.doma.extension.gen.SqlTestCaseDesc SQL をテストするクラスの Java ファイル
xxx.sql.ftl (xxxは任意の名称) org.seasar.doma.extension.gen.SqlDesc SQL ファイル

これらのファイルをコピーして修正を加えてください。 テンプレートの記法については FreeMarker のドキュメントを参照してください。

修正したテンプレートファイルは、ファイル名を変更せずに templatePrimaryDir パラメータに指定するディレクトリに配置します。 たとえば、 変更したテンプレートを mytemplate ディレクトリに配置する場合は templatePrimaryDir パラメータに mytemplate を指定します。

task gen << {
    ant.taskdef(resource: 'domagentask.properties',
        classpath: configurations.domaGenRuntime.asPath)
    ant.gen(url: 'jdbc:postgresql://127.0.0.1/example', user: '', password: '',
        templatePrimaryDir: 'mytemplate') {

        entityConfig()
        daoConfig()
        sqlConfig()
    }
}

生成するJavaファイルに共通のヘッダーとしてコピーライトを含める

lib.ftl というファイルを作成し、これを templatePrimaryDir パラメータに指定するディレクトリに配置します。 lib.ftl には次のようにcopyrightの定義をします。

<#assign copyright>
/*
 * Copyright 2008-2009 ...
 * All rights reserved.
 */
</#assign>

lib.ftl を mytemplate ディレクトリに配置する場合、タスクの定義は次のようになります。

task gen << {
    ant.taskdef(resource: 'domagentask.properties',
        classpath: configurations.domaGenRuntime.asPath)
    ant.gen(url: 'jdbc:postgresql://127.0.0.1/example', user: '', password: '',
        templatePrimaryDir: 'mytemplate') {

        entityConfig()
        daoConfig()
        sqlConfig()
    }
}

生成するJavaファイルにauthorを指定する

lib.ftl というファイルを作成し、これを templatePrimaryDir パラメータに指定するディレクトリに配置します。 lib.ftl には次のように author の定義をします。

<#assign author="Nakamura">

lib.ftl を mytemplate ディレクトリに配置する場合、タスクの定義は次のようになります。

task gen << {
    ant.taskdef(resource: 'domagentask.properties',
        classpath: configurations.domaGenRuntime.asPath)
    ant.gen(url: 'jdbc:postgresql://127.0.0.1/example', user: '', password: '',
        templatePrimaryDir: 'mytemplate') {

        entityConfig()
        daoConfig()
        sqlConfig()
    }
}